個人再生|住宅ローンを残しつつ借金を減額する方法

個人再生 住宅ローンを残しつつ借金を減額する方法

個人再生とは?

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、再生計画に基づいて3年から5年の期間で返済を行う法的な手続きです。特に、住宅ローンを抱えたまま借金の整理をしたい方にとって有効な方法であり、自宅を手放さずに借金を整理できる「住宅ローン特則」を利用することができます。

個人再生は、借金の総額が5,000万円以下であり、安定した収入があることが前提条件となります。この手続きにより、借金を最大5分の1まで減額できる場合もあり、返済計画を立てて無理のない範囲で返済が可能です。


個人再生の仕組み

個人再生は、主に以下の仕組みによって成り立っています。

  1. 再生計画案の作成
    債務者は、裁判所に提出する再生計画案を作成します。この計画案には、借金を減額した上で、どのようにして返済を行っていくかが具体的に記載されます。計画案が裁判所に認められた場合、債務者はその計画に基づいて返済を進めることになります。
  2. 債権者の同意が必要
    個人再生を進める際には、一定の割合の債権者からの同意が必要です。特に、大規模な借金や多数の債権者がいる場合、全ての債権者が再生計画に同意することが求められる場合もあります。
  3. 住宅ローン特則の利用
    個人再生の特徴的な制度である「住宅ローン特則」は、住宅を維持しながら他の借金を整理するための特別な措置です。この特則を利用することで、住宅ローンは通常通り支払いを続けながら、他の借金について大幅な減額が可能になります。

個人再生のメリット

個人再生には、以下のメリットがあります。

  1. 借金を大幅に減額できる
    個人再生では、借金が5分の1から最大で10分の1にまで減額されるケースもあります。これは、借金の返済が厳しい場合でも、無理のない範囲で返済計画を立て直すことができるため、大きなメリットです。
  2. 自宅を維持できる
    個人再生の大きな特徴は、住宅ローン特則を利用することで自宅を失わずに済む点です。自己破産では、全ての財産を手放さなければなりませんが、個人再生では住宅を守ることが可能です。これにより、家族との生活を続けながら借金を整理できるのが大きな利点です。
  3. 返済期間が3~5年に延長できる
    再生計画案に基づいて、返済期間を3年から5年に延長することができます。このため、毎月の返済額が無理のない範囲に調整されることが多く、長期的に安定した返済を進めることが可能です。
  4. 信用情報への影響が軽減される場合がある
    自己破産と比較して、個人再生では信用情報への影響が軽減される場合があります。自己破産の場合、すべての借金が免除される一方で、個人再生は返済を続けるため、信用情報に残る期間が短くなるケースもあります。

個人再生のデメリット

一方で、個人再生にはいくつかのデメリットも存在します。

  1. 手続きが複雑で費用がかかる
    個人再生は裁判所を介する手続きであるため、任意整理に比べて手続きが煩雑であり、専門家のサポートが不可欠です。また、裁判所への手数料や専門家の費用がかかるため、手続きにかかるコストも高くなります。
  2. 返済計画通りに返済ができない場合は無効になるリスク
    個人再生で再生計画が認められた場合、その計画に基づいて返済を続けることが求められます。しかし、返済が滞った場合には計画が無効となり、最終的に自己破産に至るリスクもあります。
  3. 信用情報への影響
    個人再生を行うと、信用情報機関にその事実が記録され、新たな借り入れやクレジットカードの取得がしばらくの間制限されます。これにより、日常生活に不便が生じる場合もあります。

個人再生の手続きの流れ

個人再生の手続きは、以下の流れで進行します。

  1. 専門家に相談する
    まずは、弁護士や司法書士に相談し、個人再生が適しているかどうかを確認します。専門家は、借金の総額や収入状況、住宅ローンの有無などを確認し、最適な解決策を提案してくれます。
  2. 裁判所に申立を行う
    専門家とともに、裁判所に個人再生の申立を行います。申立には、借金の詳細や収入・支出の状況、所有する財産のリストなどが必要です。
  3. 再生計画案の作成
    申立が受理されると、再生計画案を作成します。この計画案には、借金の減額後の返済計画や返済期間、返済方法が具体的に記載されます。
  4. 裁判所の認可
    裁判所が再生計画案を認可すると、再生計画に基づいて返済がスタートします。再生計画に従い、3年から5年の期間で減額後の借金を返済します。

住宅ローン特則の利用方法

個人再生の最大のメリットの一つが「住宅ローン特則」の利用です。この特則を利用することで、住宅ローンだけを特別扱いし、他の借金を整理しつつ、住宅ローンは通常通り支払い続けることができます。これにより、自宅を守りながら借金問題を解決することが可能です。

住宅ローン特則を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 住宅ローンの支払いが滞っていないこと
  • 住宅が自己の生活のために使用されていること
  • 住宅ローン以外の借金があること

住宅ローン特則が認められれば、他の借金が大幅に減額される一方で、住宅ローンはこれまで通り支払い続けることができるため、住宅を維持したまま生活を続けることが可能です。


まとめ

個人再生は、住宅を維持しながら借金を大幅に減額できる法的な手続きです。特に、住宅ローンを抱えている方にとっては、住宅ローン特則を活用することで、自宅を手放さずに借金問題を解決できる大きなメリットがあります。

一方で、手続きが複雑で費用がかかる点や、計画通りに返済できない場合のリスクも考慮する必要があります。個人再生を検討する際は、弁護士や司法書士などの専門家に早めに相談し、最適な解決策を見つけることが重要です。

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